前回に引き続き、私が携わっていたプロジェクト「中古衣類・靴販売ビジネス」についてお話しします。
ながーくなってしまったので、休憩を入れながら読んでくれると読み終えると思います(笑)
このプロジェクトですが、大き分けると以下の写真のように、3つの部門で構成されています。
Production Whole Sale(卸売り販売) Retail Shop(小売店) 今回はこの3つのそれぞれの仕事内容について詳しくお話しようと思います。
1.Production これはトラックで運ばれてきた衣類・靴を搬入して、その品物を種類や品質別に仕分けをし、圧縮された後に包装して2と3の各お店に搬送するお仕事を行います。
包装されたもの、写真1と2で見られる白い透明のプラスティックみたいなのに包まれている衣類は商品として扱われます。
私達の間では、これを「ヴェール」と呼んでいます。
Productionのお仕事は中々簡単ではありません。
なんといっても、同じ作業をずーっと繰り返すので、疲れちゃいます。
これはTシャツ、これはズボン、これは女性の服。。。。。
この品質はA、これはB、これはC。。。
などをいちいち1つずつ、たくさん山ほどある服全てにチェックをしないといけないからです。
しかも、靴は片方しかなかったり、もう片方を探すのに苦労したりと…。
飽き性の私には、正直、面倒くさい作業でもありました。
仕分け作業の様子。大きな白い袋に、種類・品質別に仕分けされた衣類を入れる。 ですが、本当はこの作業が一番大事なんですけどね。
特に仕分け作業は、後に商品として販売する際に影響を左右するので、さぼると見事にツケがまわってきます。
最終的な売り上げを左右していると言っても、過言ではありません。
なので、リーダーやDIであるボランティアは、きちんと一緒に働きながら、指導・監督しなければなりません。
一緒に働かないとだめです。じゃないと、何が問題だとか、何を改善しないといけないかがわからないからです。
2.Whole sale shop(衣類・靴の卸売り) Whole sale shopとは、卸売り販売のことです。
2006年に私が活動した際には、このお店はマラウイで11のお店がありました。(今はもう少し増えていると思います。)
さて、卸売り販売というのは、1で包装された「ヴェール」をお客さんにそのまま販売することです。
この「ヴェール」には7~8種類のカテゴリーと重さがあり、お客さんが好きに選んで購入することになってます。
こんなにたくさんの服が入ったのを販売してどうするの?って思われるかもしれません。
実はこの「ヴェール」、お客さんに販売された後は顧客の自由になります。
つまり、購入したお客さんは地元のマーケットでこのヴェールの品物を販売するんです。
そう、いわゆる小さなビジネスです。
彼ら自身に小さなビジネスの機会を与えて、彼ら自身の収入の増加を見込むのが目的です。
アフリカでは、マーケットで衣類が販売されるのが普通です。
マーケットに行くと、とても多くの衣類や靴が販売され、値段や人集め、デコレーションも様々です。
多くの人は、Humana People to Peopleが行うWhole sale shopから品物を購入し、これをマーケットで販売しています。
お客さんは意外と、女性の方が多いんです。
副業として行っている方が多いんでしょうね。
お客さんがヴェールを購入した時、例えば1つのTシャツの単価が100クワチャだとしたら、このお客さんがマーケットで販売する時は、150クワチャで販売したりします。
上手な人は、たった2、3日で1つのヴェールをマーケットで売りさばく人もいます。
苦手な人は、1ヶ月以上かかります。
平均は、2~3週間くらいでしょうか。
時期にもよります。
マラウイは雨季(11月~4月)と乾季(5月~10月)にわかれます。
雨季は売り上げが下がり、乾季はとてもいいです。
何故だかわかりますか??
みなさんも、雨が降ったときには外に出たくないですよね。
ましてや、マラウイのマーケットは野外です。
なので、商売がしようありません。
だから、自然と売り上げが下がってしまいます。(クリスマス時期は別)
逆に乾季のときはとても好調です。
晴れてるので、みんな外にでます。
しかも、6、7月はメイズの収穫時期で、90%以上が農民であるマラウイの人たちは、この時期は収入が増加します。
なので、商売にもってこいです。
みなさんもお金のないときに、ショッピングはしませんよね?
そんな感じです。
DIの人がこの仕事を任されたとき、重要になってくるのはマーケティングです。
より多くのお客さんにお店に来てもらい、購入してもらうためにも、サービスやサポートを行わないといけないです。
具体的には、購入したお客さんと一緒にマーケットに行って、お客さんがどのように販売しているのか、一般の人は何を求めているのかなど、基本の0から知らないと駄目なのです。
お客さんが販売に行き詰っていたら何が問題で、どんなサポートが必要なのかも一緒に考えていく必要があります。
なぜって、お客さんが上手に販売すれば、そのお客さんはもっと多くの商品を私達のお店から購入できるからです。
お客さんの商品販売の終了が早いほど、そのお客さんが次の新しい商品を求めて私達のお店にやってきます。
なので、実際にマーケットに行ってヴェールの売れ行きもチェックしないと駄目です。
3.Retail shop(小売店) これは普通の服屋さんのことです。
マラウイには9つのお店がありました。
メイン・ショップ、ブランタイヤのお店の看板。 小さな町サリマにあるお店の外観。 ここは普通の服屋さんと同じなのですが、売り方にちょっと変わったシステムが導入されています。
それは「4 Week cycle」と呼ばれるものです。
このシステムなんですが、Productionから新しく受け取った商品を全て1ヶ月以内に売りさばかないといけないんです。
しかも、翌月まで一切の新しい商品を受け取ることができません。
それに加え、中古衣類・靴なので全てがいい商品であるわけでもありません。
新しいく届いた商品を仕分けして、店頭に並べる準備をしているところ。 仕入れの後は、1つずつの商品をチェックして値段をつけたり、数を数えたりする。全てが手作業になるため、2~3日間はお店を閉めてスタッフ全員でこの作業を行う。 シャツを店頭に並べる時でも、例えば色の配色を考えたりして並べてみるだけで、見栄えが異なる。これらは全てDIのアイディアがもとになる。 この4Week Cycleシステムの結果、どういうことが起こるかというと、
・システム開始時、つまり新しい商品が店頭に並ぶ月初めは、品質がよくファッショナブルな品物画多いために、高く販売できるため、連日満員の顧客数と高い売り上げを保持できる。しかし、これらの品物は売り切りも早く、2週間後にはいい品物が店頭からなくなる。
・2週間後に店頭に並ぶ品物が顧客の高いニーズにあったものではないので、高く販売することができない=売り上げが下がる。そして、自然と顧客の足が減る。
新しい商品が店頭に並んだときの、お店の様子。たくさんのお客さんが来店するので、ごちゃごちゃになる。 なぜ1ヶ月に1回しか商品を受け取れないの?
なんでこんなシステムを導入しているの?
この理由としては、やはり品物を海外から受け取っているということにあります。
つまり、定期的に、必要時にパッと仕入れができないんです。
商品を受け取った時に、半分を保管して足りない時に店頭に出していこうということも試みましたが、なかなかうまくいかないのが現実です。(これについては後でお話します。)
DIの必要な仕事は、まずこの問題をどうやって解決するかということじゃないでしょうか。
特に、このプロジェクトはビジネスなので、基本的にお店の運営を第1に考えます。
そのためには、まずはお客さんのニーズを知ることがまず大切です。
いくらが適応な値段であるのか、どんな商品を求めているかなど…。
あとは、スタッフのトレーニングも大事です。
服が落ちていたらきちんときれいに並べ替える、たたみなおす。
お店が汚かったら、そうじする。
お客さんが来店したら、お客さんをサポートして手助けをする。。。
日本では当たり前のことですが、残念ながらアフリカではそうではありません。
お店をよく見せてもっとたくさんの人に来てもらうように、DIが中心となってスタッフと一緒にお店のデコレーションを考えたり、広報活動もしなければなりません。
クリスマス・キャンペーンのときは、DIが中心になって全てのお店のデコレーションを考え、一緒にお店を飾っていく。デコレーションのほかにも、チラシ配りやポスター貼りなどを中心に広報にも力を入れる。 >
お客さんの目につくように、見栄えのある服を壁にかけてみたりして、些細なことでも細かくスタッフと一緒にやってみる。 オフィスでの広報活動。チラシ・ポスター作りや、打ち合わせを行う。オフィスでの広報活動だけではなく、実際に町やマーケット、近くのお店を回ったりもする。 私達やみんなにとっては、当たり前に知っていることや、できることがアフリカではまず通じず、できないです。
お店のデコレーションや、接客の大切さは私たちにとってはごく当たり前のことですが、私達が知っていることが必ずしも彼らも知っているとは限りません。
ポスターを手書きで書くにも、紙やペンがなかったりします。
オフィスに行っても、プリンターが突然に壊れたり、コンピューターがなかったり…。
外を回ったら、バスで移動しているときに渋滞に巻き込まれたり、バスが故障したり…。
とにかく、予想外の、想像外のことがいつも起きるので順調にことが進まないのが普通です。
しかも、アフリカの人はとってもマイペースです。
日本人のように、時間を守ったり時間一杯にきびきび働くということはまずほとんどないです。
「これをやってみよう!」となっても、いざとなると、まず予定通りにできないです。
日本とは全く正反対の環境の中で、全く違う人々と一緒に協力し合ってビジネスを行わなくてはなりません。
DIの人は、そんな中でいかにうまく人々を動員し、信頼関係を築いて仕事をしていけれるかが活動する上の最大の鍵になります。
ユニークなアイディアや新しい案の企画・実行、広報、コミュニケーションやマーケティング、リーダーシップなどのスキルも重要になってきます。
だけど、それよりももっと重要なのが「柔軟性」だと私は思います。
これについてはもう少し後でまた説明します。。。
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テーマ : 海外ボランティア - ジャンル : 福祉・ボランティア